認知症患者とグリーフ

heart (with hands)

認知症をもった患者さんで、最近、奥さんや旦那さんを亡くされた方がいます。認知症にも色々なタイプがあり、皆が何も覚えていない訳ではありません。家族や近い友人を亡くす事は、私たちに大きな影響を与えますが、多くの認知症患者も同じように深い悲しみ(グリーフ)を経験します。

私の患者Hさんは、時々混乱して記憶もあいまいですが、最近亡くなった旦那さんの事を思い出して、泣き出してしまう事があります。このような「事態」を出来るだけ避ける為に、Hさんのスタッフ(高齢者福祉施設)は「旦那さんの話は、なるべくしないようにしてるの。」と言いました。

音楽療法では、どんな反応をされるだろう?と思いながら、Hさんとのセッションを始めました。こういった場合、思ったよりも選曲が難しいのです。Hさんは自分で「この曲を聴きたい。」というような判断は出来ないので、私は幾つかチョイスとしてジャンルをあげました(カントリー、ポピュラー、賛美歌など)。

Hさんは賛美歌を選び、私は過去にHさんがよく反応された曲を歌い始めました。そして…….Hさんは涙を流しました。賛美歌は告別式でもよく使われるので、旦那さんの事を思い出したのでしょう(Hさんは、旦那さんがお亡くなりになる前のセッションでは、一度も泣いた事がありません)。普段、めったに患者さんをハグしない私ですが、この時はHさんをハグして「泣いていいんですよ。」と言いました。

患者さんの悲しみをしっかりと受け止める事は、音楽療法士の大切な役目です。Hさんの施設のスタッフは、Hさんが旦那さんの事を考える=悲しくなる=ネガティブな事、のように考えているようでしたが(または1:1でじっくり話す時間がないからなのか)、大切な人を亡くして悲しくなったり、涙を流したりする事は、ごく当たり前の事です。そしてこれらは、グリーフという長いトンネルをくぐり抜ける為に必要な過程でもあります。

認知症をもった方も他の人のように、悲しみを表現する機会が必要だと私は思います。皆さんは、どうお考えでしょうか?

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2 thoughts on “認知症患者とグリーフ

  1. serou0401 says:

    悲しむべき時に悲しむことが必要だと思います。それは認知症の方に限ったことではないですが…

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