プライベートプラクティスの音楽療法士が持っているべき7つの「モノ」

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プライベートプラクティスの音楽療法士として働くには、まず何が必要か?

1. 名刺

2. 記録紙(アセスメント、セッション記録)または、コンピューター

3. ウェブサイト

4. 音楽療法全般に関するパンフレットまたは資料

5. 自分が専門とする分野における音楽療法の資料(少なくとも、幾つか研究論文を要約し、「参考文献」のリストも含める)

6. もちろん楽器

7. 前向きな姿勢!

音楽療法ボランティア?

Accordion

先日、あるホスピスからメールが届き、その内容は「音楽療法士として(長期)ボランティアをしませんか?」という事でした。アメリカのホスピスは、ボランティアをもつ事を義務付けられており、また、ボランティアの活動時間が規定の基準を超えなければなりません。その理由もあるのでしょう。この10年間で「音楽療法士としてボランティアをしませんか?」という誘いを2回程受けました。

私は、音楽療法士をして10年程働き、またホスピス音楽療法の仕事は7年目となります。全米認定音楽療法士として、ボランティアをした経験は一度もありません(大学院の実習や卒業論文関係の臨床試験を除く)。これは、威張っているとか、プライドの為とか、そういった訳ではなく、音楽療法士という職業は、ちゃんとした「仕事」だからです。音楽はなぜか「楽しいもの」と見られがちですが、音楽療法士は音楽以外にも、様々な教科をパスし、幅広い知識をもっている事を必要とされます。

勿論、私は、音楽療法以外の事では、ボランティアをした経験があります。日本に住んでいた時は、あるホスピスで掃除の手伝いをしました。アメリカに来てからは、ある所でホームレスの方の朝食の準備を手伝ったり、アルツハイマー協会の寄付金集めの活動に参加させてもらったりなど。自分がもし億万長者だったら、音楽療法士として長期ボランティアをするかもしれません。この「仕事」、大好きですから。

少し話は逸れましたが、その受け取ったメールには、(丁寧に)音楽療法ボランティアは出来ませんという事と、その理由を書いて、返信しました。例外があると思いますが、もし、音楽療法士が無報酬で音楽療法を提供する場合は、大学/専門学校を通しての実習や研究、または自分でパイロットスタディ(試験的研究)を行い、その結果報告書を書く、という理由や条件がある事が大切だと思います。療法士が音楽療法を実施し、その結果を他のプロフェッショナルや家族の方とシェアする事により、音楽療法の理解を深める事ができます。そして最終的には、クライエントの方が音楽療法のベネフットを受ける、という結果に繋がるのではないかと思います。

録音された音楽 VS 生の音楽

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「Bさんは、昔の曲のCDとかに全然興味を示さないから、音楽療法士の訪問にも反応しないと思ったわ」と、ある老人福祉施設のスタッフが言いました。そのスタッフは、アルツハイマー型認知症をもっているBさんが、音楽療法士の生の音楽に反応しているのを見て、ビックリしたからです。

その音楽療法士は「CDなど(事前に録音された音楽)と、生の音楽は全く違うのです。私達はそれを知っていて、対象者の方のために、音楽を意図的に使います。」と答えました。

では、録音された音楽と生の音楽の違いとは一体何でしょう?

録音された音楽=セッション中、瞬時にテンポや演奏方法を変える事が出来ない。生の音楽=対象者の方のニーズにより、臨機応変にテンポや演奏方法、使い方を変えられる。

録音された音楽=対象者の方は、スピーカーの振動を感じるかもしれないが、聴覚の刺激が中心。音楽療法士による生の音楽=聴覚だけでなく、視覚、触覚も刺激する。

録音された音楽=視覚的注意を置くところが無い(スピーカーをじっと見つめるわけにもいかない)。音楽療法士による生の音楽=対象者の方が、視覚的注意を置くところがある(これは特に、アルツハイマー型認知症をもった方にとって、とても大切)。

録音された音楽=人との関わりを必要としない。音楽療法士による生の音楽=人との関わりが、セッションの一部である。

このように、録音された音楽と生の音楽には、色々な違いがあります。勿論、録音された音楽が活躍する機会も沢山あります。私達は、自分の好きな音楽を通勤中に聴いたり、リラックスしたい時に、自分にとってリラックス効果のある音楽を聴いたり。。。

しかし、認知症をもった方に関して言うと、大抵、生の音楽の方が効果的であるという事を、自分の臨床経験を通して感じました。