音楽療法=癒し???

音楽療法=癒しと連想される方も多いと思いますが、そもそも ”癒し” とは何でしょう?

『デジタル大辞泉』と 『goo辞書』によると、癒しとは ”肉体の疲れ、精神の悩み、苦しみを何かに頼って解消したりやわらげたりすること。”

またその補説には、”昭和60年頃からはやりだしたか。”とありました。

もちろん音楽療法によって癒される方は多数いらっしゃると思いますが、音楽療法はそれ以外の事にも役立ちます。

例えば、、、

  • 自閉症をもっている方のコミュニケーションスキルを促進する。
  • 認知症をもっている方の社会性を促す。
  • (神経学的音楽療法は)パーキンソン病をもった方の歩行訓練の手助けをする。
  • (神経学的音楽療法は)失語症のもった方の言語リハビリの手助けをする。
  • 鬱を軽減する。

など、他にもたくさんのゴールを達成する事に使われます。

もちろん ”音楽療法士” はきちんと訓練された者でなければなりません。

音楽=楽しいものと考えがちですが、選曲、やり方などにより、患者さんにネガティブな影響をもたらす事もあるからです。

ご意見、ご感想お待ちしております。

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ホスピスで失語症の為の神経学的音楽療法?

以前に、リハビリでよく使われる神経学的音楽療法はホスピスの現場でも活用できる、とツイッターで呟きました。先日、ホスピスの脳梗塞患者で、半身麻痺、失語症をもつCさんを訪問。部屋にハッピーバースデイと書いたカードがあったので、”今日が誕生日なのですか?”と聞くと、Cさんは頭を縦に振りました。”ハッピーバースデイソングを聴きたいですか?”と私が尋ねると、また頷いたので、私はさっそくギター伴奏でその歌を歌い始めました。

私が歌っている途中、驚く事にCさんが少し口を動かし始めたのです。それなので、私はまたハッピーバースデイソングを繰り返しました。今度は、Cさんが明らかに歌おうとしている事がわかったので、三回目….なんとCさんはゆっくりその歌を歌い始めたのです。最初、発声が出来ない部分もありましたが、Cさんが何回か自分で繰り返し歌っている間に、声も大きくなり、ちゃんと ”Happy birthday to you…”と歌えるようになりました。同じ部屋にいたスタッフの方もビックリ!

皆さんのご存知だと思いますが、ホスピスの患者さんの目標はリハビリではなく、緩和ケアです。しかし、このCさんの場合、神経学的音楽療法の言語リハビリテーションの知識、テクニックが役に立ちます(長くなりますので、言語リハの細かい説明は省きます)。もしCさんが家族に ”I love you.” と言えるようになったら、患者さんにとっても、家族にとっても、意味深いものになるのでは???

しかし、私が何をやりたいか?ではなく、Cさんが何をやりたいか?が一番大切な事です。もし、Cさんが言語リハ的な事を行って、例えば家族に”I love you.”と言いたいのであれば、私は喜んで神経学的音楽療法のアプローチを使います。しかし、Cさん自身、その意志がないのであれば、私はもちろんCさんのチョイスを尊重します。なぜなら、ホスピスはまず第一に患者さん(患者さん自身が選択ができない場合は、”保護者”と指定されている家族の者)の選択を尊重するものなのです。

その日、Cさんは良い一日を送っていたようです。半身麻痺で、あまり笑顔もみせられない日が多いですが、”ハッピーバースデイ”を歌った後は、表情はいつもより明るく、”ハ、ハッ!”という笑い声まで出ていました。